日本の研究人材・科学技術人材について考える

日本の研究人材・科学技術人材政策について考える

日本の研究人材・科学技術人材をめぐる状況や施策等について、政府や関係機関の公表データなどから考えたことを記録しています。

研究者の育成に関する施策④(次世代人材育成)

次世代の科学技術人材育成のためのSTEM教育の推進

 日本の若者の理科離れについては、1990 年代頃から社会的課題として取り上げられるようにな り、1993年の平成5年版科学技術白書では、若者の理科離れの傾向や将来の科学技術人材不足への懸念等が特集で記載されている。また、1994年には、文部省の高等教育局長の私的諮問機関として、「大学の理工系分野の魅力向上に関する懇談会」が設けられ、報告書「大学の理工系分野の魅力向上と情報発信について」が取りまとめられ、理工系分野の大学が情報発信等に取り込むことの重要性等が指摘されている。

 こうしたことを背景に、1996年の「第 1 期科学技術基本計画」では、科学技術に関する学習の振興の必要性が示され、子ども科学技術白書の作成や動画・デジタル教材等の充実等の取組が科学技術庁を中心に進められた。その後、 2001年からの「第2期科学技術基本計画」の期間には、中央省庁再編により文部省と科学技術庁が統合し、文部科学省が発足したが、文部科学省では、2002年度に科学技術・理科教育の充実のための取組を総合的・一体的に推進する「科学技術・理科大好きプラン」を開始し、このプランにおいて「スーパーサイエンス ハイスクール(SSH)」等の事業が開始された。SSH事業は、科学技術・理科・数学教育を重点的に行う学校をスーパーサイエンスハイスクールSSH)として指定し、理科・数学に重点を置いたカリキュラム開発や大学や研究機関等との効果的な連携方策についての研究を実施するものであり、現在も次世代育成の科学技術人材育成に関する中核的事業として継続されている。

 現在、SSHのほかにも、2014年から開始された「グローバルサイエンスキャンパス」においては、大学が、地域で卓越した意欲・能力を有する高校生等を対象に、国際的な活動を含む高度で体系的な理数教育プログラムの開発・実施等を行うことを支援しているほか、2017 年から開始された「ジュニアドクター育成塾」 では、理数分野で特に意欲や能力の高い小中学生を対象に、大学等が特別な教育プログラムを提供してその伸長を支援する等の取組を進めている。これらの小中高等学校の児童生徒を対象とした施策については、いずれも国立研究開発法人科学技術振興機構の運営費交付金事業として実施されており、同機構は、次世代の科学技術人材の育成に関しても大きな役割を果たしている。 

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次世代人材育成事業の概要(第91回人材委員会資料2より転載)


女子中高生等を対象とした取組

 日本の科学技術人材政策において、女性研究者の活躍促進が大きな課題となっているが、将来、理工系の女性研究者数を増加させるためには、大学進学の進路選択の時点から、理工系を目指す中高生を増やしていくような取組が必要である。

 このため、科学技術振興機構の「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」においては、大学や関係機関におけるシンポジウム等において、科学技術分野で活躍する女性研究者等のロールモデルの提示等により、女子中高生の理系進路選択を推進する取組への支援を行っており、各大学におけるサイエンスカフェ等の取組が推進されている。

 また、内閣府の「理工チャレンジ(リコチャレ)」においては、女子中高生等が、理工系分野に興味・関心を持ち、将来をイメージして進路選択(チャレンジ)することを支援するため、 理工系分野が充実している大学や企業などの紹介や、団体が実施するイベント情報の提供、 理工系分野で活躍する女性からのメッセージ紹介などを行っている。

 第6期科学技術・イノベーション基本計画においても、女性研究者の活躍促進に向けた具体的取り組みの一つとして、「中⾼⽣、保護者、教員等に対し理⼯系の魅⼒を伝える活動や、理⼯系を中⼼とした修⼠課程・博⼠課程学⽣の⼥性割合を増加させるための活動において、⼥性研究者のキャリアパスロールモデルの提⽰を推進する。⼥性の理⼯系への進学を促進するため、2021 年度以降、更なる拡充を図る」ことが盛り込まれている。

 

(参考)

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)

グローバルサイエンスキャンパス

ジュニアドクター育成塾

女子中高生の理系進路選択支援事業

理工チャレンジ(リコチャレ) | 内閣府男女共同参画局