日本の研究人材・科学技術人材について考える

日本の研究人材・科学技術人材政策について考える

日本の研究人材・科学技術人材をめぐる状況や施策等について、政府や関係機関の公表データなどから考えたことを記録しています。

研究者の人材育成に関する施策①(大学院教育の充実)

大学院教育改革に関する主な審議会答申

 2000年代に、大学院の量的整備が図られて以降の大学院教育の充実については、2005年9月の中央教育審議会答申「新時代の大学院教育-国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて-」において、課程制大学院制度の趣旨に基づいたコースワークの充実・強化や、円滑な博士の学位授与の促進など、大学院教育の実質化(教育の課程の組織的展開の強化)のための方策について提言がなされたことが、一つの出発点としての意義を有していると考えられる。その後、答申の内容を踏まえた「大学院教育振興施策要綱」が策定され、これに基づいて関係事業等の具体的な施策が展開されてきているが、大学院教育振興施策要綱を策定して施策を推進するというこの枠組みは、現在まで続いているものである。

 その後の取組の進捗については、2015年9月の中央教育審議会大学分科会審議まとめ「未来を牽引する大学院教育改革」において、大学院重点化以降の大学院教育改革の進捗状況と課題が整理されており、優秀な日本人の若者の博士離れ等の課題が指摘されている。また、この報告書においては、高度な専門的知識と倫理観を基礎に自ら考え行動し、新たな知及びそれに基づく価値を創造し、グローバルに活躍し未来を牽引する「知のプロフェッショナル」育成のための大学院改革を推進するため、世界最高水準の教育力と研究力を備え人材交流・共同研究のハブとなる「卓越大学院(仮称)」の形成についても提言されている。

 さらに、2019年1月の中央教育審議会大学分科会審議まとめ「2040 年を見据えた大学院教育のあるべき姿」においては、2040年の社会の需要に対応するための大学院教育の改善方策として、「三つの方針を出発点とした学位プログラムとしての大学院教育の確立」「学位授与の在り方」「博士後期課程修了者の進路の確保とキャリアパスの多様化」といったことが提言されている。なお、「三つの方針」とは、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)及び入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)であり、学位プログラムとしての大学院教育の確立に向けて、各大学院における策定・公表が義務付けられている(学校教育法施行規則第165条の2)

 

(参考)学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)

第百六十五条の二 大学は、当該大学、学部又は学科若しくは課程(大学院にあつては、当該大学院、研究科又は専攻)ごとに、その教育上の目的を踏まえて、次に掲げる方針を定めるものとする。
一 卒業又は修了の認定に関する方針
二 教育課程の編成及び実施に関する方針
三 入学者の受入れに関する方針
2 前項第二号に掲げる方針を定めるに当たつては、同項第一号に掲げる方針との一貫性の確保に特に意を用いなければならない。

 

各大学における取組の推進

 上記のような審議会答申等での提言を踏まえた各大学における取組を推進するため、これまで様々な支援事業が実施されてきているが、博士課程教育の充実に関する近年の主な事業としては「博士課程教育リーディングプログラム」「卓越大学院プログラム」が挙げられる。

 「博士課程教育リーディングプログラム」は、広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーを養成する ため、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した学位 プログラムを構築・展開する大学院教育の抜本的改革を支援する事業として、2011年度から実施されているものであり、2019年度までに33大学62プログラムが支援されている。

 「卓越大学院プログラム」は、卓越した博士人材を育成するとともに、人材育成・交流及び新 たな共同研究が持続的に展開される卓越した拠点を形成するため、各大学が自身の強みを核 に、これまでの大学院改革の成果を生かし国内外の大学・研究機関・民間企業等と組織的な連携を行いつつ世界最高水準の教育力・研究力を結集した5年一貫の博士課程教育プログラ ムを構築することを支援する事業として、2018年度から実施されており、2019年度までに26プログラムが採択されている。

 

(参考)

大学分科会:文部科学省

博士課程教育リーディングプログラム|日本学術振興会

卓越大学院プログラム|日本学術振興会