日本の研究人材・科学技術人材について考える

日本の研究人材・科学技術人材政策について考える

日本の研究人材・科学技術人材をめぐる状況や施策等について、政府や関係機関の公表データなどから考えたことを記録しています。

研究者のポストと待遇の確保に関する施策⑥(女性研究者の活躍促進)

女性研究者の活躍促進に関する施策

 以前の記事で記載した通り、日本の女性研究者の割合は、先進国中で最下位となっている。女性研究者の活躍促進は、多様な視点や創造性を確保し、活力ある研究環境を形成していく上で重要であるが、優秀な研究人材の確保という点からも重要な課題である。また、女性研究者が著しく少ない分野等では、女性限定採用のポストを新設するような取組等も必要と考えられることから、人的資源とポストの双方に関わる課題と捉えて、施策を推進することが重要と考えられる。

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 なお、女性限定公募については賛否両論があり、違法であるとの意見を聞くこともあるが、男女雇用機会均等法では、性別による差別の禁止(第5条)の規定がある一方で、「事実上生じている男女の格差」がある場合には例外的に女性優先採用が認められている(第8条)。

 

(参考)雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)

(性別を理由とする差別の禁止)
第五条 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。六条 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。

(女性労働者に係る措置に関する特例)
第八条 前三条の規定は、事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となつている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を講ずることを妨げるものではない。

 

文部科学省等における支援事業

 女性研究者の活躍促進を支援する施策としては、2006年の「第3期科学技術基本計画」において「女性研究者の活躍促進」の項目が盛り込まれて以降、「女性研究者支援モデル育成事業」(2006~2010)、「女性研究者養成システム改革加速事業」(2009~2010)、「女性研究者研究活動支援事業」(2011~2014)、「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」(2015年度~)といった支援事業が、文部科学省で継続的に実施されてきている。

 現在実施されている「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」は、「研究と出産・育児等のライフイベントとの両立や女性研究者の研究力向上を通じたリーダーの育成を一体的に推進するダイバーシティ実現に向けた大学等の取組を支援する」ことを事業目的としているが、女性研究者の採用・定着・上位職登用に向けた各大学の意欲的な取組を幅広く支援する事業と考えればよいと思われる。なお、支援額は年間4千万円程度、採択数は20件超となっている。

 また、日本学術振興会の特別研究員制度の中では、出産・育児により研究を中断した研究者に対して、研究奨励金を支給し、研究復帰を支援する「特別研究員(RPD)事業」が実施されている。この事業も、特別研究員(PD)と同様に、採用期間は3年間で、期間中、毎月36万2千円の研究奨励金が支給される。別途、研究テーマを推進するために科研費の補助を受けることができることも特別研究員(PD)と同様である。この事業で約200人のポストが確保されており、毎年70人程度が新たに採用されている。

 

各大学等における取組

 各大学・研究機関等における女性研究者の採用・定着に関しては、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定や国立大学法人の中期目標・中期計画に基づく取組が進められている。特に国立大学の取組については、国立大学協会によって、男女共同参画推進に関するアクションプランが策定され、毎年の追跡調査が実施されており、各大学の取組の普及・展開に大きく寄与しているものと考えられる。

 

 女性研究者の活躍に関しては、現在、日本のランキングは先進国中で最下位であるが、逆に見れば、ここが日本の伸びしろであるとの見方もでき、日本の科学技術力・研究力の向上に向けて最大限に力を入れるべき分野の一つと考えられる。

 

(参考)

ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ 女性研究者研究活動支援事業

特別研究員-RPD 制度の概要 | 特別研究員|日本学術振興会

男女共同参画 | 国立大学協会