日本の研究人材・科学技術人材について考える

日本の研究人材・科学技術人材政策について考える

日本の研究人材・科学技術人材をめぐる状況や施策等について、政府や関係機関の公表データなどから考えたことを記録しています。

博士課程教育の中心となる研究大学(研究者育成に関する制度・体制④)

博士学生の約7割は、国立大学の学生

 以前の記事でも述べた通り、博士課程を置く大学は、2020年度で459校であり、その内訳は、国立77校 、公立66校、私立316校となっている。一方で、博士課程学生75,345 人の内訳を見ると、国立50,886人、公立 5,222人、私立19,237人と、国立大学が全体の約7割を占めており、博士課程教育においては、国立大学が中心的な役割を負っていると言える。

 そして、国立大学の中でも、研究者育成という観点からは、いわゆる研究大学の果たす役割が大きいと考えられる。研究大学については、法令上の定義はないが、第6期科学技術・イノベーション基本計画では、「研究大学(卓越した⼤学(卓越した成果を創出している海外⼤学と伍して、全学的に世界で卓越した教育研究、社会実装を機能強化の中核とする「重点⽀援③」の国⽴⼤学)」としており、国立大学法人運営費交付金の重点支援の枠組みの類型を用いて定義を行っている。ちなみに、重点支援③の大学は、北海道大学東北大学筑波大学千葉大学東京大学東京農工大学東京工業大学一橋大学、金沢大学、名古屋大学京都大学大阪大学神戸大学岡山大学広島大学九州大学の16大学である。

 また、文部科学省の「研究大学における教員の雇用状況に関する調査」では、調査対象大学を、「学術研究懇談会(RU11)を構成する11大学及び国立大学法人運営費交付金の重点支援③にあたる16大学の何れかに該当する18大学」と定義している。ちなみに、RU11を構成する大学は、北海道大学東北大学筑波大学東京大学東京工業大学名古屋大学京都大学大阪大学九州大学早稲田大学慶応義塾大学の11大学である。

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研究大学における教員の雇用状況に関する調査」の対象大学(第89回人材委員会資料3-1より転載)

18校の研究大学で、全体の約半数の博士学生を教育

 これらの18大学の学生数について、各大学の公表している要覧等から学生数を推計すると、博士課程学生全体の約半数を占めていることが分かる。大学数で見れば、博士課程を置く459大学の4%程度に過ぎない16大学が、全博士学生の約半数の教育を担っていることとなり、研究大学が博士課程教育の中核であることがこうした数字からも見て取れる。

 また、これらの研究大学は、外部資金を含めた研究費の獲得の面でも優れており、博士課程教育や博士学生の研究の環境としても、他の大学と比較して充実したものとなっていると考えられる。

 研究人材の育成に関する取組を進めていく上では、これらの研究大学を対象とすることで、多くの学生への支援を効率的に実施することができると考えられる。また、先進的な取組をモデル的に支援し、その成果を普及拡大する際にも、一定の学生を擁するこれらの研究大学を対象とすることが効果的と考えられる。

 

(参考)

第6期科学技術・イノベーション基本計画 - 科学技術政策 - 内閣府

研究大学における教員の雇用状況に関する調査[調査資料-305]の公表について | 科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)